web技術者のハロワの使い方!職業訓練と求職活動実績

「ちくしょう!転職だ!」と仕事を辞めても、まず行くところはハロワですよね。
ハローワーク初心者なんて恥ずかしくないハズですが、実際に行ってみるとハロワの職員たちは「知ってて当然」みたいな雰囲気で迫ってきます。 憎たらしいことに、ベテランの無職たちも何だかすまし顔です。悔しい!
そんな方のために、初めての転職でも困らないハローワークの使い方をまとめました。
ハローワークの上手な使い方
- ハロワには求人はあるけどマトモな仕事はない
- 安売り厳禁!煽られても気にしない
- 職種変更なら職業訓練を使う手も
- web制作者なら資格で簡単!求職活動実績
- 雇用保険期間はスキルを磨くチャンス!
ハローワークってどんなところ?
まずはハローワークがどんなところか、ざっくりと説明してみます。
ハローワークは公共職業安定所です。各地域で管轄のハロワは決められていて、現住所の最寄りのハロワに行くことになります。
仕事を辞めると、離職票などを持って求職の手続きに行き、なんとなく説明会があって、なんとなく日程などが決められます。あとは決められた日に簡単な書類を持っていくだけで雇用保険を貰えるお得なシステムです。
この辺りの詳しい書類や手続きの仕方などをまとめたサイトはたくさんあるので、ググってみるといいでしょう。
「どんなところ?」と言われれば、なんか後ろめたい感じの所です。清潔感はあるのですが「職安」というドヤ街的な雰囲気はちゃんと残っています。
ハロワに来ている人たちは、至って普通の方が多いです。でも中には明らかにヤバイ感じのオジサンもいます。
10年程前のことですが、都内の某ハロワで私の前に並んでいたオジサンの耳の裏に白っぽいノミのような生き物が飛んでいるのを見つけてしまい、「これがノミか!」という新鮮な驚きで胸が熱くなりました。じっくり観察したかったのですが、ノミが飛び移るかもしれない恐怖と、オジサンの香ばしさで近づけませんでした。無念。
普段目にすることのない怪しいオジサンと同列に扱われることによって「ああ、無職なんだなあ」と実感することができるホラーな場所です。
ハローワークってどんな仕事があるの?
まず、ハローワークの有効求人倍率をみてみましょう。
近年の求人倍率をみると、明らかに求人は増えています。2016年の平均求人倍率は1.36倍で、2017年に入ってからもさらに増え続けています。
2017年6月の内訳をみると、正社員の有効求人倍率は1.37倍なのに対し、パート・アルバイトの求人倍率が1.8倍となっておりパートの求人倍率がかなり高いです。この募集背景については、退職者の再就職向け求人なのだそうです。
ニュース等で「有効求人倍率が増えている」と聞いていましたが、まさか老人向けパート求人が大人気だったとはガッカリです。
正社員とパートの有効求人倍率の比較
※厚生労働省 一般職業紹介状況 季節調整済データ
しかし、web技術者には朗報もあります。デザイナー・エンジニアなどIT・通信業界の求人倍率は5~8倍!一人当たり5社以上は引き合いがある状態です。web制作者は他の業種に比べて超選び放題。完全に売り手市場です。
IT・通信業界と全業界平均との求人倍率比較
※DODA転職求人倍率レポート(2017年7月)
ハロワには求人はあるけどマトモな募集は少ない
web業界が長い方なら、求人を眺めていると知っている会社があると思います。もしかすると、自分が勤めている(勤めていた)会社の求人もあるかもしれません。
知っている会社だと、だいたいの勤務時間や雇用条件は把握してたりしますよね。で、ハロワの募集条件など見ると「残業なし・未経験OK」みたいな大嘘が書かれているんです。「あの会社が?いやいや無理でしょ」みたいな。
どういう事かというと「ハロワの求人は嘘を書いてもOK」なんですよね。求人に嘘を書いても特に罰則はないし、求人が集まりやすいからどこも嘘を書くんです。
ハロワはハロワで「求人を集めてくるのが仕事です」ってな具合で、質はともあれ数値さえ増えてくれればいい訳です。
企業が融資や助成金を受けるためのカラ求人だってあります。カラ求人に至っては採用する気なんてありません。もう何でもアリです。
民間の求人だとここまでのズレはないように感じるのですが、これはハロワの求人掲載が無料だからなんですよね。掲載無料で審査もザルだから、離職率が高い悪徳企業や零細企業が多いんです。ブラック企業の温床になっている、とまで言われています。
ハローワークでも実態は把握しているようですし、厚生省もこの現状に歯止めをかけようと調査もされています。しかし2017年現在では、今のところ無法状態が続いています。
ハローワークで悪徳企業に騙されて、泣く泣く辞めて、またハロワで別のブラックに騙される。転職歴が増え、履歴書が汚れて、キャリアダウンしていく。これがハロワ・ブラックスパイラルです。このスパイラルはゼロ収束で、自分がどんどん削られていくのでご注意を。
結果的に公共機関のハローワークが悪徳企業・ブラック企業の活動を支援しているのが実情なのです。
ハロワ・ブラックスパイラルの仕組み
職業相談では安売り厳禁!煽られても気にしない
ハローワークでは「職業相談」を受けることになっています。いい求人があれば、職業相談で話を聞いて、企業に取り次いでもらうというシステムです。
基本的には、やる気のないおばさんが「仕事探してますかー?いい仕事ありましたかー?ないですかー。じゃ、ハンコ押しときますねー。」という話を1分くらいするだけです。そのためにわざわざハロワまで行って、順番待ちをします。不毛ですね。
なぜこんな不毛なシステムになっているのか?
実は、ハローワークで職業相談をしている人は、転職のプロでもありませんし、ハロワの職員でもありません。転職が上手くいかなかった人が、任期3年のハロワの期間雇用で食いつないでいるだけです。
そりゃ、やる気もないでしょう。自分自身が転職に失敗してるのに、満足な転職アドバイスなんてできるわけがない。内心、人の相談どころじゃないはずです。
ハロワのおばさん達の中には「希望給与を高望みし過ぎなんじゃないですか?」なんて言ってくる人もいます。「これじゃ高すぎて採用されませんよ」みたいな。
ハローワークの求人の給料は、基本的に安いです。平均的なweb業界の給与水準に比べて7~9割くらい安めになってます。ハロワの相談員達は、安い求人しか見たことがないので、こちらの希望を高望みのように感じてしまうようです。
安売りしないで大丈夫!あなたは間違ってません!
転職に失敗したおばさん達の「高いような気がする!」というアドバイスは、間違っています。
そもそも、希望年収を下げれば、誰だって転職できるでしょう?
転職で年収アップするために職業相談や面談があり、作戦を立てて企業にアプローチする必要があるんだと思うのです。現に民間の転職会社ではそうやって年収アップを実現しています。
ハロワのいい加減なアドバイスは気にせず、自分の転職希望を貫きましょう!
職種変更なら職業訓練を使う手も
「エンジニアからデザイナーになりたい」とか、「デザイナーからエンジニアになりたい」とか、職種を変更したい方の場合には職業訓練を受ける手もあります。
ご存じのとおり、web制作の仕事は広範囲です。デザイナーでもjQueryぐらいは当然のように求められますし、エンジニアでもデザインをバリバリ作らされることもあります。
これは超大手企業でも同じで、Googleのホリデーロゴ(記念日とかにロゴが変わるヤツね)もエンジニアのデニス・ホワンが作ってたりします。
そういう業界事情もあって、元エンジニアのデザイナーも、元デザイナーのエンジニアも活躍できる会社はあります。職種を変えてもこれまでのキャリアを活かすことができます。
さらに職業訓練を受けると、学校に行っている半年間は雇用保険がもらえます。ちょっとした休暇のつもりで学校を目指すのもいいでしょう。
職業訓練を受ける場合、web系でよく開校されているのが「webデザイナーコース」です。
多くの場合webデザイナーコースでは、photoshop、illustrator、flash、html,cssあたりの基礎の基礎を半年かけてじ~っくり学びます。正直、自分で独習する方が圧倒的に早いですし、ハウツー本程度ならエンジニアでも既にできる方は多いと思います。
内容はめっちゃ簡単です。マスクかけるだけとか、フィルター当てるだけとか、パスを使ってみましょうとか…そういうヤツです。
どんな職種であれweb制作会社にいたことがある人は、学ぶことが全くないかもしれません。本当の素人さん向けの講習です。しかも「WEBデザイナーに憧れているおばさん」がメインターゲットだったりします。
著者も10年前に「webデザイナーコース」を受けたことがあります。あまりのレベルの低さに驚きました。初回はなんとダブルクリックの仕方から!講義で聞いた話は全部知ってましたし、講師のスキルの低さにも飽きれたものです。結果、1ヶ月で辞めました。
講師の方も現役バリバリで働いている人は少ないと思います。むしろ通用しなくなったから講師をされているように思います。
とてつもないぬるま湯なので、職業訓練だけをやっていても転職では全く役に立たないはずです。
結局のところ技術は自分で学ぶしかありません。
本気で職種を変更したい方は、職業訓練に通って雇用保険をもらいつつ、自分で本を買って勉強し、新しく学んだ技術を使って試しにサイトを作り、ポートフォリオを作り、さらに資格にも挑戦して自分を高めましょう。
多くのweb制作者にとって学校から学ぶことはおそらく何もありませんが、職業訓練を使えば、雇用保険をもらいながら勉強する時間が作れます!
web制作者なら資格で簡単!求職活動実績
ハローワークでは、定期的に求職活動実績を提出する必要があります。
求職活動実績は割と何でも良くて、話を聞くだけのセミナーに参加してもいいし、職業相談でも、民間転職会社の面談でも、実際に面接を受けてきてもいいです。
でも、中身のないセミナーや職業相談なんて、時間の無駄ですよね?
そこで、おすすめなのが資格試験です。試験を受けるだけで求職活動実績として認められます。
web系の資格はここ数年でもかなり増えました。
会社勤めをしていると「こういうスキルがあれば」と思うことが必ずあるはずです。資格を取るだけでスキルに直結することはありませんが、新しい分野の知識を体系立てて学ぶことができます。資格で得た知識をきっかけにスキルを磨くことができるのです。
webでは新しい技術が年々生まれるので、学び続けることは大切ですよね。
PHPやSQLのバージョンアップに対応しなければいけません。セキュリティ対策は年々進化しているので、システムの構成も変わってきています。Google検索エンジンの進化で最適化方法も変わり、以前とはURL設計の考え方も違ってきました。
以前よりも成果を出すwebサイトが求められる傾向が強く、自分の専門分野にプラスしてウェブ解析などを学んでかないと、顧客や協力会社との打ち合わせをしている時に説得力がありません。
学ぶべき事は多いのに、会社に勤めていると新しい技術を試す機会はなかなかありません。忙しくて時間も取れません。そういう勉強をするチャンスなのです。
自分の知識をバージョンアップしつつ、履歴書に書ける資格も増えて、求職活動実績にもなります。
web制作者なら、この機会を逃す手はありません。
どんどん資格を受けて、スキルを磨いて、次の転職に備えましょう。
まとめ|雇用保険期間はスキルを磨くチャンス!
これまで見てきたように、web制作者にとってハローワークは「スキルを磨くために利用するもの」です。
すぐに転職をしても良いのですが、この機会に自分の知識をリニューアルして、現職中に気になっていた様々な技術を学んで自分を高めましょう!
web制作は専門技術職です。
結局のところ、スキルが高ければ年収は上がり、仕事の裁量も増えて自由になり、理想の転職を叶えることができます。