独学スキルアップ!WEB業界のおすすめ資格

変化の速いWEB業界では、新しい知識を学び続けないと実務で通用しなくなってしまいますよね。
分かっちゃいるけど勉強が進まない、なんてことありませんか?
そんな時は初心に戻って資格を受けてみるのもいいものです。数年前までの常識だったことが時代遅れになっているのを発見できたりします。
WEB業界の資格といえば、以前は漠然とした内容のものが多かったので「資格は実務で役に立たない」と言われがちでした。近年ではより実践的な内容を問われる資格が増えてきています。
むしろ、今時「資格は役に立たない」と言っている人は不勉強なことが多く、古い知識のまま役立たないコードを書くので「ポンコツ・トロール」とまで言われるようになってきています。WEBが進化したように、資格も進化し続けています。もはやWEB業界では勉強し続けるのも仕事のうちです。
また、デザイン・プログラムなど技術系だけでなく、マーケティング・解析・広告分野の資格ができているのも面白いですね。ディレクターやマネージャー向けの資格も徐々にできてきています。
ここでは、WEB業界で役立つ代表的な資格をご紹介します。
WEB業界の転職で役立つ資格
- デザイナー向け:ウェブデザイン技能検定2級
- コーダー・フロントエンドエンジニア向け:HTML5プロフェッショナル認定
- バックエンドエンジニア向け:基本情報処理技術者・PHP5技術者認定試験
- ディレクター・解析士向け:ウェブ解析士・GoogleAdWords認定・Googleアナリティクス認定
WEBデザイナーならウェブデザイン技能士を目指そう
WEBデザイナーの仕事は、画像加工やサイトデザインだけじゃなく、HTML・CSSのコーディングを担当することも多いですよね。さらにjQuery装飾や、PHPテンプレートの編集などをすることもあると思います。
こうしたWEBデザイナーのアート寄りじゃない部分の知識を問われるのが、国家試験のウェブデザイン技能検定です。
WEBデザイン技能検定に合格するとWEBデザイン技能士になることができます。
ウェブデザイン技能検定2級を取得する意味
ウェブデザイン技能検定には1~3級があるのですが、実務経験がある方は2級をお勧めします。
一度実務で働いたことがある方にとって、3級はあまりにも簡単過ぎます。何の勉強にもならないのでお金がもったいないです。実際に3級を受験しているのは、専門学校などの学生が多いようです。
かといって、いきなり1級はハード過ぎます。ウェブデザイン技能検定1級は年に1回しか試験がなく、内容もハードです。対策本もまだありません。1級の保持者は、2017年現在で全国に70人くらいしかいないはずです。仕事の片手間に勉強するには重すぎます。
そういう理由で、ウェブデザイン技能検定2級を受けてみましょう。2級はちょうどいい難しさなのです。
ウェブデザイン技能検定2級の試験には、学科と実技があります。実技は毎年同じような問題が出されますし、簡単なサイト制作なので多くの方にとって問題ないと思います。
問題は学科です。学科は学問的で面倒な問題も出題されるので、ちゃんと対策しないと合格できません。
国家試験だけあって固い内容の試験で、規格の標準化団体や略称の和名など実務とは関係ない内容も目立ちます。一方で、セキュリティ回りの考え方や対処など、突っ込んだ話も出てきます。
重箱の隅をつつく問題や引っ掛け問題もあるので割と気が抜けません。知識のリニューアルに持ってこいです。
「ウェブデザイン技能検定」という名前の割りに、デザインセンスは全く問われないので、コーダー・エンジニア・ディレクターにもお勧めできます。
コーダー・フロントならHMTL5プロフェッショナル認定
コーダー・フロントエンジニアなら、HMTL5,CSS3,JavaScriptの理解を総合的に高められる「HTML5プロフェッショナル認定試験」がおすすめです。
HTML5プロフェッショナル認定試験は民間試験ですが、経済産業省が定めるITスキル標準(ITSS)のスキルマップにも登録されているちゃんとした試験です。
HTML5,CSS3,JavaScriptの実務的な内容を広く扱っているのが特徴で、仕事中に「あれってどうだっけ?」と曖昧になりがちな知識を固めるのに役立ちます。
HTML5プロフェッショナル認定試験
HTML5プロフェッショナル認定試験には「Level.1」と「Level.2」があります。
プロフェッショナル認定試験と謳っているだけあって、かなり実務的な内容です。Level.1はHTML5とCSS3がメイン、Level.2はJavaScriptがメインの内容になっています。
毎日業務でコーティングしている人でも、いつも似たようなタグ、似たようなCSS表現、似たようなJavaScript関数を使いまわしていることが多いはず。
HTML5プロフェッショナル認定試験では、より高度なワンランク上のコーディングを目指すのに役立ちます。
Level.1の方がLevel.2よりも簡単ですが、試験分野は被っていないので時間のある方はLevel.1から受験するのをおすすめします。Level.1でもHTML,CSS3を十分に掘り下げられた内容なので、新しく学ぶことはあると思います。正しいコーディングをするために、ぜひコーダーにおすすめしたい試験です。
フロントエンジニアはLevel.2の合格を目指しましょう。Canvas,Web Storage,File API等々、現在は主流ではないものの「今後さらに発展する」と言われている技術がたくさん試験に出てきます。Level.2を取得すればより深くJavaScriptを理解するのに役立つはずです。
プロフェッショナル認定試験では、フロントエンドコーディングの総合的な実力が問われると思います。フロント回りを専門にされる方だけでなく、エンジニア・デザイナー共におすすめできる試験です。いい試験ですよ!
バックエンドは業務でよく使う言語から選ぶ
バックエンドエンジニアの場合は、自分が業務でよく使う言語の検定を受けてみると良いでしょう。PHPならPHP5技術者認定、PythonならPython3エンジニア認定、RubyならRuby技術者認定試験といった感じで、主要な言語の検定があります。
中でもWEB系ならPHPを使わない会社はほとんどないでしょう。
PHP5技術者認定試験は経済産業省のITスキル標準(ITSS)に登録されている試験で、初級・準上級・上級の3種類があります。
初級試験は、かなり初歩的な試験なので実務経験のある方はこの試験は受けなくても大丈夫でしょう。ちゃんと対策していけば、いきなり上級でもかまわないと思います。
いきなり上級試験を受けるときには、PHPに自信がある方でも対策本を買って一通り勉強しておいた方がいいですね。普段プログラミングしている時とは違って、他人が書いたコードの理解度ばかりを問われるので、いきなり試験だと面喰います。練習問題を解いて、ある程度慣れてから試験本番に臨んだ方が確実です。
エンジニアなら基本情報技術者試験くらいは取った方がいいと思う
バックエンドエンジニアなら、国家試験の基本情報技術者試験はとっておいて損はないです。
基本情報技術者試験の内容はテクノロジ系基礎理論、セキュリティ論、プロジェクトマネジメント、システム経営戦略、法律問題などなど情報処理の根幹を問うものが多く、WEB制作実務と直接は関係ありません。今日明日の業務に活かせることはあまりないです。
ですが、基本情報技術者試験は情報処理を扱うすべての人の「土台となる知識」です。WEBに限らず、情報処理分野の全てで必要な知識が網羅されています。
エンジニアは情報処理のスペシャリストであることが求められるので、基本情報技術者試験は合格して当たり前とされている風潮もあります。大きい会社だと基本情報合格からがエンジニアのスタートラインです。
基本情報技術者試験に合格しなくても表面的な仕事はできますが、情報処理の深い部分まで理解していないと、より良いコードは書けませんし、トラブルシューティングも満足にできません。間接的にWEB制作の実務でも必ず役立ちます。コピペエンジニアで終わらないために学んでおくべきでしょう。
基本情報技術者試験に合格していないうちは、日本国にエンジニアとして認められていないので、もぐりのエンジニアってことです。もぐりってブラックジャックみたいでカッコいいですが、ブラックジャックは普通の医師以上の知識と技術があります。エンジニア界のブラックジャックを標榜する方は、せめて基本情報技術者試験と同等の知識を持って、アウトローな道を歩んだ方がカッコいいと思うのです。資格を受けずとも、ちゃんと基礎を勉強しておくとプロジェクトチーム全員が幸せになれます。
広告企業・ディレクター・SEOプランナーならウェブ解析資格・Google広告系資格を取ろう!
多くのWEB制作会社では、顧客のコーポレートサイトの維持に保守費用を頂いていると思います。その際、毎月アクセス解析レポートをまとめて提出していることも少なくないはず。
そんな時に役立つのが、ウェブ解析士試験とGoogleアナリティクス認定試験です。
また、顧客からGoogleAdWordsの広告出稿をすることもあると思います。広告を扱う方はGoogleAdWords認定試験を取っておきましょう。
ウェブ解析士もGoogle系試験も、実務に直結する内容です。むしろ実務力が問われる試験と言ってもいいでしょう。
特にGoogle系試験はアナリティクスやアドワーズを毎日使っている人でも、まず知らない便利機能や新しく搭載された機能を教えてくれるのでとても助かります。また、無料のオンライン受験なので、お金がない方も、時間がない方も、いつでも始められます。やらない手はありません!
ウェブ解析士試験をパスしてウェブ解析士になろう!
ウェブ解析士試験には、ウェブ解析士・上級ウェブ解析士・ウェブ解析士マスターがあります。階段式の試験で、まずウェブ解析士を取ってから、上級ー>マスターへと順番に取得するタイプです。まずはウェブ解析士から受験しましょう。
ウェブ解析士試験に合格すると、ウェブ解析士になることができます。ウェブ解析士協会のサイトに名前や実績を掲載できるので、営業アピールができます。
2017年現在では、解析士の会費は6千円で1年更新(更新試験あり)なので、本当に実務で資格を活かしている方以外は、まず会員にはならないと思います。逆に「ウェブ解析士」の肩書になっている人は全員プロだと思っていいです。
逆に「初級ウェブ解析士試験合格」って肩書の方は、昔あった簡単な試験を受けただけです。(初級試験は廃止になりました。)「初級解析士試験合格」は正規の解析士ではないので、たぶんプロじゃないです。趣味で試験を受けただけじゃないかと思います。
2017年以降のウェブ解析士試験で面白いところは、ペーパー試験だけ合格してもウェブ解析士にはなれないところです。試験に合格した後に、ウェブ解析の課題が出されます。実際にアナリティクスデータを渡されて、1か月以内にコンサルレポートを作成して提出しないといけません。
ウェブ解析士の役割は「事業成果の最大化」とされているので、コンサル能力がないとウェブ解析士とは認められないんです。ペーパーで知識を学んで、課題レポートで知識が使えるようになっているのを試されて、初めて「ウェブ解析士」と認められます。
上級とマスターでは、より具体的なコンサル能力が問われるので、講習会の受講が必須になっています。2回の講習会に加えて4種類のコンサルレポートの提出課題もあります。(上級受検は8万以上かかる!)
資格というよりもコンサルタントの業務改善セミナーのようなものです。即実務に生きる資格だと言えるでしょう。
新しい試験なので制度がコロコロ変わったり、費用が高かったり、なにかと不便なところはありますが、効果的な解析レポートの作り方やコンサルの考え方などを学ぶにはとてもいい資格です。
Google アナリティクス個人認定資格でニッチな機能を学べる!
Google アナリティクス個人認定資格(GAIQ)は、アナリティクスのマニアックな機能を問う無料の試験です。普段仕事でアナリティクスを使っている人でも、まず知らないであろうアナリティクスの便利機能を学ぶための資格と言っていいでしょう。
試験対策には、GoogleアナリティクスアカデミーでGoogle アナリティクス初級者向けコースと Google アナリティクス上級者向けコースという無料のオンライン講習があるので、それで十分です。
アナリティクスの高度な使い方を動画などで紹介してくれるので、むしろ対策本などを買うよりもアカデミーで学んだ方が実用的。
アカデミーで学ぶとGoogle Merchandise Storeのアナリティクスアカウントをデモ用に見せてくれて、Googleの人達がどうやって解析をしているのかを学べます。
ウェブ解析士は、アナリティクスデータを使って顧客向けのコンサルレポートを作成することに軸を置いている試験なのに対し、Google アナリティクス個人認定資格(GAIQ)はアナリティクス自体の機能の理解と操作の熟練に軸を置いています。
ウェブ解析士とGAIQの両方を取得しておくと、かなり高度なウェブ解析レポートを短時間で作成できるようになることでしょう。
さらにメリットとして、GAIQを取得した人が所属する企業がGoogleに申請することで、審査が通れば「Googleアナリティクス認定パートナー」として認められます。
「Googleアナリティクス認定パートナー」とは、Googleの仲間ですよってことです。Googleのパートナー企業、Google公認データ解析会社と名乗れるようになります。さらに「GoogleAnalyticsPartnerバッジ」が使えるようになるので、名刺やコーポレートサイトに「Google ANALYTICS CERTIFIED PARTNER」と書かれたイイ感じのロゴを使わせてもらえます。
「Google公認」って素敵な響きですよね。コンサルに力を入れていきたい企業にとっては、営業力アップにつながるステータスだと思います。加えて、[GoogleAnalyticsパートナー ギャラリー]に自社の宣伝を掲載することができます。
なお、この資格は18ヶ月間有効なので、18ヶ月おきに試験を受ける必要があります。
Google AdWords 認定資格でオンライン広告のエキスパートに!
Google AdWords 認定資格は、Google に認められたオンライン広告のエキスパートであることを証明する資格です。GAIQと同じで、合格するとあなたのバックにGoogleが付きます。
Google AdWords 認定資格と一言で言っても、実は2科目以上の試験に合格しないといけません。2つ取って初めてGoogleAdWords認定資格が与えられます。1つは必須試験、もう一つは任意選択になっています。
必須試験は「AdWords基礎」、任意選択は5種類から選択する形です。
任意選択は、業務でよく使う広告から選べばいいと思います。たぶん「Adwords基礎と検索広告」か「Adwords基礎とディスプレイ広告」を選ぶのが一般的でしょう。
なお、この資格は12 か月間有効なので、1年おきに試験を受ける必要があります。
必須試験の「AdWords基礎」
Googleアドワーズの熟練と理解を試される試験です。
かなり突っ込んだ内容なので、普段仕事でアドワーズを使ってる人でも対策をしないとまず通らないと思います。
試験対策は、Google公式の試験対策ガイドとネットにまとめられている過去問でだいたいいけるでしょう。
対策ガイドを見ながらアドワーズをいじって遊ぶのが一番の近道です。対策ガイドの一つ一つを読み飛ばさずに、ちゃんと手を動かすことで理解が深まると思います。
問題は「こんなクライアントがいるけど、どんな対策をしたらいい?」とか「こんなケースはどうする?」とか、かなり具体的な内容なので、付け焼刃では難しいと思います。試験対策の段階で、具体的なケースを想定しながらアドワーズをつついてみましょう。
任意試験の「検索広告」
著者は「検索広告」しか受けてないので他の広告のことは知りませんが、こちらも試験対策をしないと厳しい突っ込んだ内容です。「AdWords基礎」よりもさらに細かい点の理解が必要なので要注意!
試験対策は、やはりGoogle公式の試験対策ガイドです。Google AdWords 認定資格のどれでも、たぶん対策ガイド以上のものはないんじゃないかと思います。
「AdWords基礎」の時と同様に丁寧にガイドを読んで、手を動かして、アドワーズのアチコチをクリックする。具体的なケースも想定して、考えながらアドワーズで遊ぶのが一番です。
Google AdWords 認定資格で共通しているのは、ちゃんと使いこなせるかが問われるということです。試験に合格することよりも、とにかく操作に慣れることに徹しましょう。使いこなせるようになれれば、結果として合格できます。
Google AdWords 認定資格のメリット
Google AdWords 認定資格の一番のメリットは、アドワーズのマニアックな機能を使えるようになる点でしょう。合格した時には、以前アドワーズを使っていた頃よりもずっと習熟していると思います。
また、GAIQと同様にGoogle AdWords 認定資格を取得した人が所属する企業がGoogleに申請することで、審査が通れば「Google AdWords認定パートナー」になれます。
Google AdWords認定パートナーと認められれば、Google正規広告代理店などと名乗れます。名刺や自社サイトに「Google Partner」と書かれたロゴを使わせてもらえます。
さらに[Google認定パートナー検索]に自社のPRも掲載できます。
やはり「Google公認」になれるのはカッコいいですよね。どんな人でも「Google公認」と言われれば、説得力も増すに違いありません。
広告代理店や制作会社のディレクター・SEOコンサル・広告プランナーなど、広告出稿に関わる方におすすめの資格です。
まとめ | 資格はスキルアップのためにある
この記事で挙げてきた資格は、基礎力が問われるものから実務に直結するものまで様々ですが、どの資格も取得するのに必ず勉強が必要です。
資格を取得する一番の目的は、モチベーションの維持にあります。
勉強して自分の専門分野の知識を補完したりリニューアルすることが大切なのであって、資格が取得できたかどうかはさほど大事ではないと思います。
資格は体系立てて学べるし、モチベーションも維持しやすいので、スキルアップに利用できるというだけです。賞状は自己研鑽をした結果に過ぎません。
資格取得は単なる通過点に過ぎず、実務の中でさらに資格の知識を使いこなしてこそ本当の価値が出てきます。
WEB業界で働くのに必須の資格などありませんが、資格を取ることでスキルアップできれば、転職でも実務でも必ず役に立ちます。