フリーランサーとはどんな人?46歳で年収355万IT系アグレッシブおじさんです!

フリーランサーとはどんな人?46歳で年収355万IT系アグレッシブおじさんです!

近年よく耳にするようになった「フリーランス」という働き方、気になっている方も多いと思います。

フリーランスは全国に1,122万人もいるのですが、それぞれ独立しているので、平均的なフリーランス像が見えにくいもの。

そこで、「フリーランスで働いている人」=「フリーランサー」がどんな人たちなのか、2016年の統計をもとにその姿を明らかにしていきたいと思います。

年齢・性別・年収・職種・満足度・考え方・前職・経歴など、最も一般的なフリーランスの実態に迫ります。
最後に、まとめとして 2016年度の最も普通なフリーランサー を決定します。

結論から言うと、「46歳で年収355万IT系アグレッシブおじさん」です!

※「フリーランス」の定義には諸説ありますが、この記事では中小企業庁の小規模企業白書の定義に従います。

フリーランスは何歳だ?!平均年齢は46歳

※2016年版小規模企業白書


横文字でミーハーな感じすら受ける「フリーランサー」ですが、意外にも年齢層は高めです。

フリーランサーで最も多いのが50代(41.5%)、次いで40代(32.3%)となっています。平均は46歳

一般的なフリーランサーは、六本木ヒルズの辺りのパーティーピーポーではありません。 50がらみのいぶし銀、ロマンスグレーの世界観 です。

20代はわずか0.8%、30代でも9.8%に過ぎません。20,30代を合わせても、60代(15.6%)よりも少ないのです。 集計前には「20~30代が多いだろう」と予想していたのですが、それをはるかに上回りました。

なんなら若い人よりも60代の高齢者の方が一般的です。「わしじゃ!フリーランスじゃ!」という感じです。

ネット上でよく20-30代のフリーランサーが「フリーランスとはこうあるべし!」と持論を展開していますが、実はフリーランス初心者の意見でしかないという事になります。フリーランス界では「30代はまだまだひよっこ」といったところ。フリーランス全体のうち10%程度の意見でしかないので、一般論ではありません。むしろマイノリティーです。
そう考えると、大多数の一般的なフリーランサー(40-50代)はネット上にフリーランス論をあまり書かないようです。「初心者ほど語りたがる」というのはどの業界でも同じかもしれませんね。声が大きいだけの初心者の意見に騙されないように気を付けましょう。

と、いうことで一般的なフリーランサーは寡黙な46歳 と判明しました。

フリーランスの性別は?!約76%が男

※2016年版小規模企業白書


なんとなく「男が多いだろうな」とは思っていたのですが、予想通りフリーランスは男の世界です。

女性の労働者人口比が43.4%(男女共同参画白書 平成29年版 )なのを考慮すると、フリーランスになる女性は男性よりも少ない という現状が見えてきます。
もしかすると、女性がフリーランスになりにくい社会的な土壌があるのかもしれませんね。フリーランスは表に出にくいので、正規の雇用と比べるとこうした風潮が如実に表れる気がします。

なお、統計データを見ると女性24.2%,男性75.8%となっており、合計するとちゃんと100%になるのでフリーランスのニューハーフは考慮されていません。統計の数値はシビアですね。

ここまでで、一般的なフリーランサーは46歳のおじさん と分かりました。

フリーランスの職種は?IT系が多いがいろいろある!

フリーランサーは一体どんな仕事をしているのでしょうか?
職種別にみていきましょう。

フリーランスの職種(男女合計)

※2016年版小規模企業白書


フリーランスの職種を男女合計して分類すると、デザイナー(20.7%)、次いでソフトウェア開発・システムコンサル(17.7%)、作家・コピーライター・評論家(12.1%)の順に多くなっていました。

デザイナーの割合が高い理由としては、男女共に多いためです。男女別の職種割合では、デザイナーは男性では2番目、女性では最も多い職種になっています。
デザイナーは男女とも人気なのを考慮すると、フリーランス・デザイナー業界の競争の激しさが伺えます

ソフトウェア開発・システムコンサルは、圧倒的に男性に人気で、女性ではわずか5.7%しか見られませんでした。ソフトウェア/システム関連のフリーランスはほとんど男性だけなので、デザイナーに比べるとやや競争はゆるやかでしょう。

作家・コピーライター・評論家などは、文章を書くことを生業としている多くの仕事をまとめたものです。芥川賞作家から、雑誌のコラムニストやフリーライター・ブロガーまで含みます。「物書き」の人すべてなので多くなっていますが、各メディア単位では少数なはずです。

その他は、女性に人気の翻訳家(8.1%)、大工や左官屋さんなど建築技術者(7.1%)といった風に、数%の職種がひしめいています。

全体的には、フリーランスの仕事の半数はITやライター、半数は職人さん といった感じでした。

男女別のフリーランス職種

男女別に細かく見ていくと、男性は職種の幅が広く、女性は一部の職種に集中していることが分かります。

また、男女共にフリーデザイナーは人気です。

女性のフリーランス職種

※2016年版小規模企業白書


女性では、職種がデザイナーに集中しています。翻訳・ライターなどを含めると、PCで作業をする仕事が多いですね。

男性のフリーランス職種

※2016年版小規模企業白書


男性では、ソフトウェア関連・デザイナーといったIT系職種が40.3%とかなり多くなっています。フリーライターなども含めると、フリーランスの職種の半数はIT系だと思われます。

ここまでで、一般的なフリーランサーは46歳のおじさんでIT系の仕事をしているということが分かりました。

フリーランスの平均年収は355万円

※2016年版小規模企業白書


フリーランスの年収を見てみると、平均年収は355万円 と思ったほど高くありませんでした。

100万~300万円(36.8%)、100万未満(23.1%)、300-500万円(22.7%)の順に多く、年収500万円を超える人はわずか17.3%しかいません。

フリーランスというと、自由のイメージが強いのですが、節約しないと厳しい収入です。フリーランサーは質素な生活を送っています。

一般的なサラリーマンの平均年収が442万円(国税庁「民間給与実態統計調査」)なので、サラリーマンよりも110万円近く年収が低いことになります。これでは一見フリーランスがかわいそうですね。

これには実はからくりがあります。
家賃や光熱費・移動費・交際費・通信費など生活費の一部が経費となるため、フリーランスは節税のため自分の給与を安く設定することが多いのです。生活費の全てを給与から支払わなければならないサラリーマンとは、考え方が違うというわけです。
とはいえ、経費で認められる範囲のものしか買えないので、やはり生活は質素でしょう。

さて、ここまでで分かった事は一般的なフリーランサーは「46歳、おじさん、IT系、年収355万円、質素な生活」というところまで分かりました。かなりフリーランサーのイメージが固まってきましたね。

フリーランスの満足度は47.8%!サラリーマンより幸福

さらにフリーランサーおじさんの心に迫っていきます。

サラリーマンよりも年収低めなフリーランスですが、今の生活に満足しているのでしょうか?

下記はサラリーマンとフリーランスの意識調査を比較したものです。別々の調査データなので同じ質問ではありませんが、だいたい同じ趣旨の質問なので比較できるものと考えています。

質問内容
サラリーマン:現在のお仕事や職場について、どのように感じていますか?
フリーランス:フリーランスという働き方についての満足度

※2016年「小規模事業者の事業活動の実態把握調査~フリーランス事業者調査編」、年金シニアプラン総合研究機構「サラリーマンの生活と生きがいに関する調査」

グラフを見ると一目瞭然、フリーランスの方が満足度が高いです。フリーランスの47.8%は現状に満足していて、「どちらともいえない」の39%を入れると86.8%もの方が現状を悲観してはいません。
サラリーマンの満足度は39.6%なのを考えると、フリーランスの方が相対的に幸せなようです。

さあ、フリーランサーの正体に追加しましょう。一般的なフリーランサーは「46歳、おじさん、IT系、年収355万円、質素だけど幸福」といった感じです。

34歳で独立!10年前からフリーランスになった

フリーランスおじさんは、46歳とそれなりの年齢ですが一体どんな経歴なのでしょうか?

ここでは、いつからフリーランスになったのか、フリーランスになる前にどんな会社で何年働いていたか、おじさんの過去に迫ります。

何歳からフリーランスになった?平均34歳!

※2016年「小規模事業者の事業活動の実態把握調査~フリーランス事業者調査編」


グラフの通り、30代~40代でフリーランスになる方が多く、フリーランスになる年齢は平均34歳ということが分かりました。

ある程度の年齢まで働いて職業スキルを磨いてからフリーランスになるのが一般的なようです。

フリーラス何年目?10年以上が53%

※2016年「小規模事業者の事業活動の実態把握調査~フリーランス事業者調査編」


やはりフリーランスとして働いて10年以上の方が多いですね。これはフリーランスの平均年齢が46歳なのと整合性も取れます。

平均的なフリーランス像としては、34歳から10年以上フリーランスとして働いている現在46歳の男性、ということで間違いなさそうです。

フリーランスになる前は何してた?中小企業のサラリーマン

「フリーランスになる前の職業」では、小規模事業者の正社員(41.5%)、中小企業の正社員(24.8%)の二つが多く、中小企業のサラリーマンだった人が66.3%を占めていました。

また、「フリーランスになるまでの就業年数」では、5年以上10年未満(21.5%)、10年以上15年未満(20.8%)、20年以上30年未満17.9%の順に多く、おおむね10年以上は仕事をしてきた人がフリーランスになっています。

※2016年「小規模事業者の事業活動の実態把握調査~フリーランス事業者調査編」

なんでフリーランスになろうと思ったの?自分の限界を知りたかった

※2016年「小規模事業者の事業活動の実態把握調査~フリーランス事業者調査編」


フリーランスになった理由を見ていくと、「自分のスキルがどこまで通用するか試すため」が最も多く45%でした。続いて「新たな事業にチャレンジするため」(36.9%)、「収入を上げたかったため」(19.1%%)となっています。

全体的に前向きでチャレンジ精神に満ちた回答の割合が多いのが特徴です。

自分の限界を知りたい新しいものを生み出したいといった理由がまず第一なので、年収が気にならないのかもしれません。フリーランスは挑戦であってお金ではないのです。チャレンジすること自体が幸福につながっているのではないでしょうか。

また「自分のスキルがどこまで通用するか試したい」という理由から、専門スキルへの自信が伺えます。商売が上手いからフリーランスになったわけではないのです。多くのフリーランサーは自分の技術力に絶対の自信があるからフリーランスになっています

ここまで「質素で地味なIT系のおじさん」を想像していましたが、フリーランスおじさんはカッコいい生き様の人のようです。スキルに自信があるアグレッシブなおじさん達です。

まとめ

さて、ここまででかなりフリーランサーの姿が見えてきましたね!

最後にまとめておきましょう。

フリーランサーとはどんな人?と問われれば、答えは
2016年度の最も普通なフリーランサーは「46歳、おじさん、IT系、年収355万円、質素だけど幸福、過去に10年くらい中小企業でサラリーマン経験あり、34歳から10年以上フリーランスとして活躍、アグレッシブな考え方、職業スキルに絶対の自信あり」
といった人物です。

かなりリアルなフリーランス像になったと思います。

質素でアグレッシブ、自らのスキルにストイックなその姿は、仕事を極めようとする職人です。
給料がそんなに高くないのも「武士は食わねど高楊枝」な感じでいいですね。
フリーランスがもともとfree-lance(自由な騎槍=>単独の傭兵)から来ているという点も頷けると思います。フリーランスはまさに仕事人であり傭兵なのです。

ネット上に多く見られる記事と、統計から読み取れるフリーランスの人物像とでは、かなり差があるようです。現実は仕事に誇りを持った中高年が多いのがよく分かります。

フリーランスに関するデータはたくさんあり、もっと紹介したかったのですが、ここまででも十分にフリーランスおじさんの実態が見えてきたのではないでしょうか。