国民健康保険が高い?個人事業主・フリーランス向け各種保険選び

フリーランスは会社から守られていないので、何でも自分で準備をしないといけません。将来の保険や事業用銀行口座、会計や営業先の確保などなど、目の前の仕事以外にも考える事がいっぱいです。
そんな時に便利なのが「フリーランス向け保険」です。
フリーランスはサラリーマンと比べると様々なリスクがつきまといます。
たとえば、サラリーマンは「業務上の賠償」や「労災保険」「雇用保険」などが保障されていますが、フリーランスは自分で保険に加入しないと保障が受けられません。
フリーランスが必ず入らないといけない保険として国民健康保険・国民年金がありますが、最低限の保険以外は自己責任になります。(国民健康保険から脱出する方法もあります)
このようにフリーランスの生活保障はなかなか厳しかったのですが、2017年今年から経済産業省のバックアップを受けて「フリーランス協会」なるものが発足されました。
年会費1万円でフリーランス協会に入ると、保険や福利厚生が優遇されるというものです。フリーランスの組合みたいなものですね。
2017年8月現在では、「フリーランス協会」はまだ設立されたばかりでサービスが少ないのですが、フリーランス専用のサービスとしては十分に充実しているので見逃せません。
フリーランスの保険選び
- トラブル時の賠償保険
- 病気やケガで働けない時の保険
- 個人事業主の退職金
- 国保から脱出?フリーランスの健康保険
トラブル時の賠償保険!フリーランス賠償責任補償
個人事業主・フリーランスで仕事をしていると、サラリーマンとは違って業務上の保障がありません。
仕事のミスでの情報漏洩や著作権侵害で訴えられた時、納期遅延保障などの損害を出してしまった場合に備えるには、フリーランス賠償責任補償が便利です。
フリーランス協会が扱っている損保ジャパンの保険で、協会に入った翌月15日から自動的に適用されます。
訴訟費用と損害賠償金の補てんが対象で、最大1億円の保障を受けられます。
フリーランス協会の会費は年1万円なので、月々833円でできるリスクヘッジとしては悪くないと思います。
病気やケガで働けない時の保険!
フリーランス所得補償制度
フリーランス協会取り扱いの損保ジャパン保険です。所得補償は自動付帯ではないので、年会費とは別料金を払っての加入になります。
損保ジャパンにはもともと個人事業主向けの所得補償保険があるのですが、フリーランス協会を通すと個別に加入するより47.5%割安になるというものです。
所得補償と生命保険が一体になった保険なので、所得補償に加えて入院・通院費用がまかなえるのもメリットの一つ。
怪我や病気で働けなくなった時の所得補償が支払われ、さらに生命保険のような感じで、入院保険金と通院保険金が支払われます。
こちらの保険は、労災保険ではないので海外旅行やレジャーで怪我したときにも使えます!
一般的なフリーランスの独立年齢は34歳なので、34歳で年収335万円の独身プログラマーが所得補償制度に加入したとシミュレーションしてみましょう。
毎月の保険料 3,564円 / 月
(所得補償保険料1,464円+傷害総合保険料2,100円)
所得補償保険の補償額 230,000円 / 月
傷害総合保険の保険金額
死亡 | 入院(日額) | 通院(日額) | 介護(年額) | 被害事故 | 個人賠償責任 | |
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本人 | 838万円 | 8,000円 | 5,000円 | 200万円 | 4,000万円 | 1億円 |
金額からするとかなりお得な保険だと思います。
保障内容を見る限りは掛け捨てのようです。細かな内容はそれぞれの条件で変わるので実際に保険屋さんに確認してみてください。
なお、料金シミュレーションは下記を使いました。
労災保険特別加入制度
アルバイトを含めて、誰か1人でも雇用している人が条件付きで使える労災保険です。
労災保険なので、通勤・業務中の怪我や入院しか適用されません。
また、加入するには労働保険事務組合に所属しないといけないので、組合の方の年会費もかかります。
フリーランス所得補償制度の方が得ですね。
入会金:10,000円
会費(建設業以外):1,500円/月
保険料:3,500円~25,000円
あんしん財団
誰も雇用していない個人事業主・フリーランスでも加入できる保険です。
労災保険なので、通勤・業務中の怪我や入院しか保険は適用されません。
保険料:2,000円
※保障内容は、入院6,000円、通院2,000円です。
こちらもフリーランス所得補償制度の方が得ですね。おすすめできません。
個人事業主の退職金!小規模企業共済
ちゃんとした会社に勤めているサラリーマンなら、仕事を辞めると退職金がもらえます。
多くのサラリーマンは定年退職をした後に退職金と年金で生計を立てるのですが、個人事業主は退職金がありません。
月15万円以上稼いでいる個人事業主の場合には、小規模企業共済に加入する手もあります。
独立行政法人中小企業基盤整備機構が提供している共済制度です。
国が作った小企業・個人事業主・フリーランス向けの退職金制度といった感じですね。毎月一定の掛け金をかけておいて、退職した時や事業を辞めたときに受け取れます。
この制度のメリットは、毎月の掛け金が経費として支払えるという点と、受取の時も退職所得扱いになって控除が受けれます。定期預金よりも利回りもいいです。
定期預金は自分の給料から積立ますが、企業共済は経費にできるので、毎月経費として退職金を積み立てながら、所得税・住民税・国保なども節約できるメリットがあります。
貯金しながら節税して、受取の時にも退職所得として減税できるというサービスなのです。
さらに、共済金を担保に貸付を受けることができます。共済金が担保なので審査なしで借りれるのが嬉しいところ。万一資金繰りが厳しい時にも安心です。
掛金月額は1,000円~7万円まで自由に設定できますし、苦しい時には減額も出来ます。
納付20年未満で任意解約をした場合には掛け金の元本割れをしてしまいますが、事業を廃業したり65歳以上になった場合には、払い込んだ金額以上を共済金として受け取ることができます。
受取は一括払い・10年分割・15年分割があるので、年金替わりにもなりますね。
個人事業主・フリーランスの方は、下記URLからシミュレーションができるので、試算をしてじっくり検討しましょう。
国民健康保険から脱出?文芸美術健康保険組合
イラストやWEBデザインなどアート系の個人事業主・フリーランスの方は、国民健康保険の代わりに「文芸美術健康保険組合」の文芸美術健康保険に入ることもできます。
文芸美術健康保険に入るには何らかの団体に所属する必要があるので、日本イラストレーション協会か日本ネットクリエイター協会あたりに加盟してから保険組合に入ります。
国民健康保険から脱出する方法
ただし、個人事業の収入によっては文芸美術健康保険の方が高くなる場合もあるので注意が必要です。
日本イラストレーション協会でも日本ネットクリエイター協会でも、年会費24,000円がかかります。
加えて、文芸美術健康保険は固定で206,400円/年かかるので、最低でも23万はかかります。
さらに、文芸美術健康保険には扶養家族枠がないので、1人ずつ8,700円の保険料がかかります。
…結構上乗せがありますね。家族が増えるほど高額です。
国民健康保険よりも文芸美術健康保険の方が保険料が安くなるのは年収200万円以上の単身者です。
家族がいる人や年収200万円以下の人は、大人しく国保に入った方が無難です。
まとめ
ここまでの内容から、個人事業主・フリーランス向けで最もメリットがあるのは下記の組み合わせだと思います。
賠償・怪我・病気のリスク:フリーランス協会で賠償責任補償+所得補償に入って4,397/月。
貯金の積立・貸付担保:小規模企業共済で退職金を積み立て。月々3万円で20年後には835万+節税。
健康保険:年収200万以上で独身を貫く方は文芸美術健康保険、それ以外の方は国民健康保険。
フリーランスのリスクはたくさんあり、悩むことも多いと思います。少しでも不安を解消するためにも、保険に入って盤石な体制を作りましょう。