個人事業主・フリーランス向けおすすめ銀行口座開設

個人事業主・フリーランスとして独立開業すると、まず検討しなければならないのが銀行口座の開設です。
ネットに強い銀行ではフリーランス・個人事業向けの口座が用意されています。それぞれ特徴があるので、ここでは「最も個人事業主・フリーランスに便利な銀行口座」を決めていきます。
フリーランスの事業用口座選びのポイントは、料金の安さ・屋号の扱い・ATMの利用しやすさ・ネットバンキングのセキュリティ面などがあります。
また、フリーランスの給料は、事業用口座から個人用口座に毎月振り込むことになるので、事業用口座と個人用口座との振込手数料も検討します。
結論としては、ジャパンネット銀行(事業用)+ゆうちょ銀行(個人用)のコンビがおすすめです。
今回の検討ポイントは下記のようになりました。
検討ポイント
- 屋号付き口座が作れるか?
- 屋号名のみで相手から振込受け取り
- 屋号名のみで相手に振り込む
- ATM手数料無料回数
- ATMの数
- 振込手数料
- デビットカード
- セキュリティトークン
個人事業主・フリーランス向け銀行口座の条件チェック
屋号 | 屋号受取 | 屋号振込 | 振込手数料 | ATM無料 | ATM数 | デビット | トークン | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ジャパンネット銀行 | ○ | ○ | ○ | △ | △ | ○ | ○ | ○ |
楽天銀行 | ○ | ○ | ○ | X | △ | ○ | ○ | △ |
ゆうちょ銀行 | ○ | ○ | ○ | X | ○ | △ | △ | ○ |
2017年8月21日確認
セキュリティトークンについて
フリーランスだとネットバンクでの出入金が多いと思います。ネットバンキングのパスワード管理って不安じゃありませんか?
ここ10年ほどのパスワードクラッキング(特にブルートフォースアタック)ツールの進化はすさまじいものがあります。興味のある方は試しに使ってみると分かりますが、普通のパスワードログインくらいなら割と簡単にクラッキングできます。
ネットバンキングには複数のパスワードを使いますし、クラッキングツールを排除するための仕組みもちゃんと用意されているので「ツールで簡単に」というわけにはいきませんが、高度な技術者+高性能PCに狙われた場合はクラッキングされる可能性がないとは言い切れません。同じパスワードだけで口座管理をするのは常に危険性がつきまといます。
このブルートフォースアタックの危険性をかなり低下できるのが、セキュリティトークンです。小さな電卓みたいな端末で、電源を入れるとワンタイムパスワードを毎回生成してくれます。
ネットバンキングのセキュリティを考えた場合、セキュリティトークンが利用できる銀行の方がおすすめです。
スマホアプリのワンタイムパスワードも同等のセキュリティだと考えられますが、スマホの機種変更の時に面倒です。
2017年現在では、ブルートフォースアタックの最も有力な対策はセキュリティトークンです。
セキュリティトークン以外の方法では、「ワンタイムパスワードを使う」、「大文字・小文字・数値・記号を組み合わせた長いパスワードを使う」、「できるだけ頻繁にパスワードを自分で変える」などの方法があります。
ジャパンネット銀行
屋号口座
ジャパンネット銀行では屋号付き口座の開設ができます。営業性個人口座では屋号のみの口座は作れないので、「○○商店 金融太郎」のような感じで、屋号+氏名の口座にまります。
屋号付きのキャッシュカードも作れます。
相手から振込受け取りは、屋号名のみで受け取れます。
相手に振り込む際にも、屋号名のみで振り込むことができます。(ネットバンクなら振込依頼人名を指定可能。ATM振込では不可。)
振込手数料
ジャパンネット銀行宛の振込は完全無料。
他行宛の振込は、月5回まで無料。
月6回以降は3万円未満の金額だと172円、3万円以上だと270円。
ジャパンネット銀行は他行あての振込が5回無料なのがポイントです。
ATM利用
ATMからの出入金は、3万円以上なら提携ATM手数料は無料です。
3万円未満の金額は、出金と入金がそれぞれ月に1回無料。2回目以降は324円かかります。
出入金無料に対応しているATM(提携ATM)の数は充実しています。
セブン銀行・イーネットATM・ローソンATM・三井住友銀行・ゆうちょ銀行、の5種類に対応しているのでかなり便利です。
ジャパンネット銀行は、提携ATM手数料が3万円以上無料なのがポイントです。
提携ATM手数料とは提携ATMを利用するためのジャパンネット銀行に払う手数料なので、各銀行のATM利用手数料とは別にかかります。
たとえば、ジャパンネット銀行のキャッシュカードを使って、3万円未満の額をゆうちょ銀行ATMで引き出した場合は、提携ATM手数料324円+108円=432円もかかってしまいます。
ジャパンネット銀行では、少額をATMで引き出さない方が良いと思います。
デビットカード
VISAカード付きキャッシュカードが作れます。
カードは年会費永年無料、与信審査なし、通販でも使えて便利。
セキュリティトークン
ジャパンネット銀行では、口座を開設すると無料でセキュリティトークンが送られてきます。
ログインはパスワードでログインしますが、振込などを実行する際には、セキュリティトークンを使って取引認証を行うことになっています。
特定の振込先を事前に登録して設定すれば、トークン認証なしでも振込が可能になりますが、新規振込先の場合はトークン必須です。
楽天銀行
屋号口座
楽天銀行でも屋号口座が開けます。ジャパンネット銀行と同じく、屋号+個人名の口座です。
屋号付きのキャッシュカードも作れます。
相手から振込受け取りを屋号名のみで受け取りたい場合には、「別読み登録」をすることで屋号名で受け取れるようになります。
相手に振り込む際にも、振込依頼人名を指定すれば屋号名のみで振り込むことができます。
振込手数料
楽天銀行宛の振込は51円。
他行宛の振込は、3万円未満165円、3万円以上258円。
振込に関しては、振込手数料無料サービスはないのでジャパンネット銀行の方が便利です。
ATM利用
ATMからの出入金は、3万円以上は完全無料です。
3万円未満なら216円か270円がかかります。
提携ATMはかなり充実していて、セブン銀行・イオン銀行・ステーションATM・イーネットATM・ローソンATM・三菱東京UFJ銀行・みずほ銀行・ゆうちょ銀行・ビューアルッテATM、の9種類に対応しています。この点はジャパンネット銀行よりも便利ですね。
ATM手数料については、少額についてはジャパンネット銀行よりもやや安いです。
例えば、楽天銀行のキャッシュカードを使って、3万円未満の額をゆうちょ銀行のATMで下すと、ATM手数料270円+108円=378円です。
ジャパンネット銀行と同様に、楽天銀行でも少額をATMで引き出さない方が良いと思います。
デビットカード
VisaかJCBのデビットカードを作ることができます。
カードは年会費永年無料、与信審査なし、通販でも使えて、楽天ポイントもたまるのが利点です。
セキュリティトークン
楽天銀行の場合、セキュリティトークンは使っていません。
振込認証は、メール通知によるワンタイムパスワードか、スマホアプリによるワンタイムパスワードの2種類です。
メール通知のワンタイムパスワードは、結局メールパスワードが固定なのであまり意味がない気がします。メールパスワードのクラッキングを受ければ終わりです。
スマホアプリによるワンタイムパスワードは、トークンと同様のアルゴリズムを使っていることを期待できるので、メール通知よりもアプリの方がおすすめです。
しかし、アプリのワンタイムパスはスマホの機種変更の時が面倒です。スマホを機種編するたびに楽天側で利用端末を登録したり、解除したりする必要があるので、正直面倒だと思います。
ゆうちょ銀行
屋号口座
ゆうちょ銀行が他の銀行と一番違うのは、個人事業者が屋号のみの口座を持つことができるという点です。個人でも「○○商店」のような口座が持てます。
相手からの入金も、屋号のみでOK。
自分から相手への入金も、もちろん屋号のみで表示されます。
ただし「屋号のみ」の口座は振替口座として作るので、通帳やキャッシュカードは作れません。これは不便ですよね。
振込手数料
ゆうちょ銀行宛の振込は月5回まで無料。
他行あての振込は、5万円未満216円、5万円以上432円。
他行あての振込手数料は高めです。
ATM利用
ゆうちょ銀行ATMなら曜日・時間帯・金額に関わらず完全に無料です。
ATMから少額を引き出すなら、ゆうちょ銀行を利用しない手はありません。
デビットカード
一応、デビットカードが作れますが、J-Debitマークのある加盟店かローソンでしかカードを使うことができません。
残念ながらJ-Debitの加盟店は少ないですし、オンライン決済にも対応していないので、ゆうちょ銀行のデビットカードはかなり不便です。
セキュリティトークン
ゆうちょ銀行でも申請をすればセキュリティトークンを無料で送ってもらえます。
申請も簡単ですし、1週間程度で届くのでかなり便利ですね。
トークンを使うタイミングは、ジャパンネット銀行と同じく振込認証の際です。ログインは通常のパスワードを使います。
フリーランス銀行まとめ
ここまでフリーランスで代表的なジャパンネット銀行・楽天銀行・ゆうちょ銀行の3行を比較しました。
結論としては、ジャパンネット銀行がもっともフリーランスに向いていると思います。
ただし、ジャパンネット銀行の預金をATMから下す際には3万円以上じゃないと、ATM手数料の合計が432円にもなってしまいます。少額を下ろすのには向きません。
そこで、ジャパンネット銀行で事業用口座を作り、毎月の生活費をゆうちょ銀行の個人口座に振り込み、細かい引き出しはゆうちょ銀行にします。
こうすることで、ジャパンネット銀行の事業用口座のメリットも利用しつつ、全体の手数料を無料化することができます。
銀行の手数料は毎月数百円でも、年間で合計すると結構な金額になります。抑えるべきところはキッチリ抑えて、賢く使いましょう。